
建築積算の資格とは? 建築積算士と建築コスト管理士の違いを解説
最終更新日:2026/08/25
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株式会社日積サーベイ
生島 淳平
ベンチャーの広告会社にて、ビジネスマッチングプラットフォームの企画・運営に約4年従事。その後、現在の会社に転職し、子会社への出向を経て自社開発の積算システムの営業・コンサルティングを担当。BIMと積算の連携推進に取り組みながら、建築積算・コストマネジメントの実務も経験し、現在は積算システムの企画・運営を中心に活動。 異業種からのキャリアチェンジという独自の視点と、積算システムの導入支援から実務まで幅広く携わってきた経験を活かし、本連載の監修を務めます。 次回からも、弊社の実務社員(30代の中核メンバー)が自身の経験をもとに執筆し、監修者がその内容を監修する形でお届けします。教科書的な解説にとどまらず、現場で実際に感じた悩みや気づき、リアルな実務の声をお伝えできるのがこの連載の強みです。ぜひ楽しみにしていてください。
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株式会社日積サーベイ
末松 祐希
㈱日積サーベイにて建築積算業務に従事。公共工事の予算書作成を中心に、数量積算から内訳書作成、値入までの実務を担当。物件の窓口対応を行うほか、主に内装分野の積算を担当している。
第2回では、建築積算の仕事の流れや具体的な業務内容について、弊社社員の実務経験をもとにご紹介しました。数量を拾い、単価を設定し、内訳書としてまとめていく——そうした一連の作業の中に、積算という仕事の本質があることをお伝えできたかと思います。今回のテーマは「資格」です。積算の実務を続けていく中で、自分の知識や技術を客観的に証明し、さらに体系的に学び直す機会として、資格取得は大きな意味を持ちます。弊社社員も実際に資格取得の経験を持っており、その視点から建築積算士と建築コスト管理士の違いや、若手の方にとっての資格との向き合い方について解説してもらいます。
建築積算士とは?
建築積算の分野には、学生向けの「建築積算士補」、実務者向けの「建築積算士」、そして上位資格である「建築コスト管理士」といった資格があります。
その中でも建築積算士は、積算実務者を代表する資格として広く知られています。
建築積算の仕事では、設計図書を読み取り、建物を構成する各部位の数量を算出し、その数量をもとに工事費を組み立てていきます。建築積算士には、そうした実務を行ううえで必要となる知識や技術が求められます。
数量積算や内訳書作成はもちろん、積算基準や数量算出の考え方についても学ぶため、日々の業務で身につけた知識を整理しながら理解を深めることができます。
また、資格取得に向けた学習を通し、「なぜこの数量になるのか」「なぜこの内訳になるのか」といった積算の根拠を体系的に学べることも特徴の一つです。
2026年4月1日現在、全国の建築積算士登録者数は11,372名となっており、多くの積算技術者が取得している資格です。
建築積算士試験は受験年度の4月2日時点で満17歳以上であれば受験可能であり、積算技術者を目指す人にとっての代表的な資格の一つです。
なお、学生向けの資格として「建築積算士補」もあります。建築積算の基礎知識を学ぶための入門的な資格であり、建築系の学校で学ぶ学生が積算に触れるきっかけの一つとなっています。
日本建築積算協会の「Web建築積算学校」
建築積算士の取得を目指す方にとって有効な手段の一つとして、日本建築積算協会が実施している「Web建築積算学校」があります。
建築積算に関する知識を基礎から学ぶことができる講座で、修了考査試験を受験し、所定の条件を満たして卒業判定を受けた場合には、建築積算士試験の一次試験が免除される制度もあります。
積算業務は実務の中で覚えることも多い仕事ですが、数量算出のルールや積算基準に基づく考え方を基礎から学ぶ機会は意外と多くありません。
そのため、資格取得を目指す人はもちろん、「実務経験はあるけれど体系的に学び直したい」という人にとっても有効な講座だと思います。
コロナ前は、現在のようなWeb形式ではなく対面形式で行われていました。
週に2回、仕事が終わってから通っていましたが、受講者は積算事務所だけでなく、設計事務所や建設会社の方などさまざまでした。
講義は部位ごとに専門の講師が担当し、それぞれの分野を専門としている方から説明を受けることができました。
実務でも積算業務を行っていましたが、講義で学ぶ内容は普段の業務とは少し異なる部分もありました。実務では会社ごとのルールや効率を重視する場面もありますが、講義では積算基準に基づいた標準的な考え方を学ぶことができます。
「なぜその数量になるのか」「なぜその拾い方をするのか」を改めて整理しながら学べたことは、とても良い経験だったと思います。
また、対面形式だったこともあり、他社の受講者と話す機会が多かったことも印象に残っています。
普段は接することのない他社の方々と交流し、それぞれの実務の進め方や考え方に触れられたのも大きな学びでした。
建築コスト管理士とは?
建築コスト管理士は、建築積算士のさらに上位に位置付けられる資格です。
建築積算士が工事費を算出するための知識や技術を扱うのに対し、建築コスト管理士は建築プロジェクト全体のコストを計画・管理することを目的としています。
対象となる分野も、コスト計画・コスト分析・ライフサイクルコスト・VE(Value Engineering)・発注者へのコスト提案など、工事費の積算だけにとどまりません。
建物を計画する段階から完成後までを見据えながら、「どうすれば適切なコストでより良い建物をつくれるか」という視点が求められます。
積算実務者の立場から見ると、「工事費を算出する」だけでなく、「その計画が本当に最適か」を考える資格と言えるかもしれません。
2026年4月1日現在の登録者数は2,041名で、建築積算士と比較すると登録者数は大きく減ります。
その分、積算技術だけでなく、より広い視点でコストを考える専門資格として位置付けられています。
また、受験するためには一定の実務経験や資格要件が設けられており、建築積算士の称号取得後に更新登録を行った者、建築関連業務の実務経験を5年以上有する者、または一級建築士として登録している者などが対象とされています。
※ライフサイクルコスト(Life Cycle Cost):建物の建設費だけでなく、維持管理や修繕費、設備更新費、さらには解体費までを含めた建物の生涯コスト。
※VE(Value Engineering):必要な機能を維持しながらコストを改善する考え方。
建築積算士と建築コスト管理士の違い
どちらも建築コストに関わる資格ですが、その役割には違いがあります。
建築積算士
・数量積算や内訳書作成が中心
・工事費を正確に算出するための知識と技術を扱う
・主に積算実務者向け
建築コスト管理士
・コスト計画やコスト分析が中心
・建築プロジェクト全体のコストを管理する
・発注者支援やマネジメント業務にもかかわる
簡単に言えば、
建築積算士は「積算実務の専門家」
建築コスト管理士は「建築コスト全体を管理する専門家」
と言えるでしょう。

若手のうちは何を目指せばいい?
積算業務に携わる若手の方であれば、まずは建築積算士を目指すことをおすすめします。
建築積算士は、多くの積算実務者が取得を目標としている資格であり、自分の知識や技術を見直す一つのきっかけにもなります。
また、資格取得に向けて勉強を進める中で、普段担当していない部位や分野に触れる機会も増えます。実務だけではなかなか得られない知識に触れられることも、資格取得の大きなメリットと言えるでしょう。
その後、経験を積みながらコスト計画やマネジメントの視点を学び、建築コスト管理士を目指していくのが一般的な流れです。
資格そのものよりも、資格取得に向けて学ぶ過程が自身の成長につながると言えるかもしれません。
まとめ
建築積算士と建築コスト管理士は、どちらも建築コストに関わる専門資格です。
求められる知識や役割は異なりますが、どちらも積算技術者としての専門性を高めるうえで大きな目標となる資格と言えるでしょう。
資格取得そのものが目的ではありませんが、学習を通じて得られる知識や考え方は、日々の業務にも必ず役立ちます。
積算という仕事をより深く理解し、自分自身の成長につなげるきっかけとして、資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。
次回予告|建築積算業務で新人が最初につまずきやすいポイント
第4回では、新人が積算業務でつまずきやすいポイントを取り上げながら、その原因や考え方について分かりやすく解説します。図面の読み方や数量の整理方法、よくあるミスなどにも触れながら、これから積算を学ぶ方に向けて実務のヒントをお届けします。

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