KENGIセミナー 東京#2 AI時代到来の今だからこそーー BIMの実践者から学ぶ、つながる

KENGIセミナー 東京#2 AI時代到来の今だからこそーー BIMの実践者から学ぶ、つながる

#イベントレポート

最終更新日:2026/08/25

KENGI編集部

株式会社建築技術

KENGI編集部

2026年7月10日(金)イベントレポート

第2回となる「KENGIセミナー東京#2 AI時代到来の今だからこそ——BIMの実践者から学ぶ、つながる」が、2026年7月10日(金)にKENGI HALL(建築技術セミナースペース)で開催されました。

当日は、AIやデジタル技術が急速に進展する今だからこそ一歩踏み込んで考えるべき「BIMの実践」を切り口に、最前線で活躍する3名の登壇者がそれぞれの視点から取り組みや知見を共有しました。

本記事では、当日のセミナーの模様と、登壇者たちが語ったBIM実践へのアプローチについてレポートします。

【登壇者一覧】
染谷俊介 氏(デジタルコンストラクション染谷技研 代表)
松原昌幹 氏(株式会社AMDlab 取締役CTO)
曽根巨充 氏(前田建設工業株式会社 建築事業本部 建築生産技術部 担当部長)

冒頭、株式会社建築技術 阿部夏海より、開会の挨拶とともに本セミナーの趣旨が説明されました。

株式会社建築技術 阿部夏海による挨拶

第一講演:「元スーパーゼネコンのBIM実践者が語る“本当の効用” ── 大手にはできない、地方だからこその勝ち筋”少数精鋭”BIM活用の戦略と実例」デジタルコンストラクション染谷技研 代表 染谷 俊介氏

第一講演では、大手ゼネコンでも一筋縄ではいかないBIMやAIの導入実態が明かされました。BIMやAIをはじめとするデジタル技術の活用において、単なるツールの導入や「丸投げ外注」に頼らない、組織的な運用の重要性が提示されました。

鍵となるのは、経営視点と現場実務の両方を理解し、BIM・AI・デジタル技術を兼ね備えた「社内人材」の育成です。ここを外注してしまうと技術の空洞化につながるため、外部有識者の支援を受けながらでも自社で育成することが不可欠とされました。真の課題は技術そのものではなく、それを動かす「人・ルール・仕組み」の不足にあります。

まずは業務プロセス全体の完全自動化といった大きなゴールを目指すのではなく、個人やチーム単位で効果を実感できる身近な用途から着手すること。Photoructionをはじめとした、現場管理を楽にする市販ソフトウェア等を切り口に、AIを加速力や潤滑油として組み合わせながら、小さな成功体験を積み重ねていく姿勢こそが、自走化への最も確実な道筋であると語られました。

染谷氏が立ち上げに携わったBIMediaも併せてご確認ください。
https://bi-media.jp/

染谷氏講演のようす

【染谷俊介様プロフィール】
・2007−2025年、大手ゼネコンにて建設DX分野のR&D・実務適用や本社BIM推進部門立ち上げに携わる。専門であるBIM・3D測量技術は業界標準化にも携わる。2025−2026年に総合コンサルファームにて戦略コンサルマネージャー(管理職)を経験。現在は建設DX分野の技術コンサルティング業を独立開業。博士(工学)。一級建築士。

第二講演:「今、AIを使ってできること」株式会社AMDlab 取締役CTO 松原昌幹氏

続く第二講演では、LLM(大規模言語モデル)や生成AI技術の基礎構造から、建築実務・BIMへの具体的な活用事例、そして技術的な限界と今後の展望が紐解かれました。

開発実績を豊富に持つAMDlabの知見をベースに、ClaudeなどのLLMをサービスの中核(頭脳)とし、多様な「オーケストレーター」や「エージェント」と組み合わせる実践的な活用像を提示。一方で、Transformerの仕組みやコンテキスト(文脈情報)過多による精度低下、データ不足に起因するハルシネーションの必然性など、現在のAIが抱える技術的制約についても構造的に解説されました。

また、最新のモデルやMCP(Model Context Protocol)、AIの挙動を制御する「ハーネス」を活用したBIMモデル自動作成の実証例を紹介しつつも、建築業界特有の情報量の少なさから生じる課題を指摘。AI開発やプロジェクト導入においては、「できること」「まだできないこと」「原理的にできないこと」を見極め、適切な制御システムとともに運用していく重要性が語られました。

松原氏講演のようす

【松原昌幹様プロフィール】
・株式会社AMDlab取締役CTO(一級建築士)。神戸大学大学院修了、タンペレ工科大学留学。安井建築設計事務所、フロムスクラッチ、東京大学T_ADS、フォースタートアップスを経て、2019年にAMDlabを設立。

第三講演:「BIMは個別最適から全体最適へ-作成からマネジメントへの転換-」前田建設工業株式会社 建築事業本部 建築生産技術部 担当部長 曽根巨充様

第三講演では、工事費の高騰や時間外労働の上限規制、建設業法改正といった急激な社会環境の変化に直面するいま、「建築技術者がAI時代の前にまずやっておくべきこと」を軸に、建築生産システムのあるべき姿が語られました。

近年、人材・技能労働者不足への課題解決としてデジタル技術による生産性向上が強く求められており、日建連の調査でも7割以上の企業がBIMの効果を実感しています。しかし曽根氏は、デジタル化がツール主導の「部分最適」に陥り、設計と施工の間でBIMデータが途切れてしまう現状を指摘。かつて戦前まで日本の建築がそうであったように、下流(施工・製作)の高度な専門知見を上流(設計)へと早期に還元するフロントローディングやDfMA(製造・組み立てを考慮した設計)を推進し、建築生産プロセスそのものを清流化・全体最適化することこそがBIMの本質であると強調されました。

鉄筋工事における「シン・ワークフロー」とRevit等を活用した自社ケーススタディでは、不具合を後工程に持ち込まない仕組みを構築。その過程で見えてきたのは、単にモデルを作成する技術だけでなく、納まりを判断できる建築技術者の育成と「マネジメント力」の重要性です。AI技術の台頭に対しても、その出力の正誤を瞬時に判断できる人間の技術力が前提となります。

BIMやAIはあくまで課題解決の「手段」であり、「目的」は建築生産プロセスの適正化にあります。日本特有の共創文化を強みに、生産情報を必要な段階で正しく共有しながら、「短期の成果」「長期の成果」「長期の能力構築」をバランスよく推進していく重要性を提示しました。

曽根氏講演のようす

【曽根巨充様プロフィール】
・1988年 前田建設工業株式会社入社。建築技術支援部門などを経て、BIMなどのデジタル技術の開発・推進を担う。国土交通省 建築BIM推進会議委員や日本建設業連合会 BIM部会部会長、芝浦工業大学での非常勤講師などを務めている。

本セミナー(KENGIセミナー東京#2)にご参加いただいた皆様に、改めて御礼申し上げます。

次回「KENGIセミナー東京#3」は、8月28日(金)にKENGI HALL(東京都・五反田)にて開催を予定しております。

今回の講演内容、および今後のデジタルプラットフォームの展開にご期待を寄せる皆様のご参加を心よりお待ちしております。

登壇者集合写真

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【開催概要】
KENGIセミナー東京#3 大阪・関西万博にみるリユースへの構造設計者の提案
日時 2026/08/28 15:00-18:00
締切 2026/08/27 17:00
会場 〒141-0031 東京都品川区西五反田7-7-7 SGスクエア4階 KENGI HALL(建築技術セミナースペース)
定員 48名
対象者 技術者、施工者等
参加費 5,000円(税込)
CPDポイント 2単位
主催:株式会社建築技術 / 共催:株式会社フォトラクション

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