
AIJ大会論文の傾向から紐解く設備設計のトレンド
最終更新日:2026/09/28

株式会社日建設計総合研究所
村井絢香
大手建設会社にて設備設計(電気・機械)に7年、設備施工管理に3年従事。大規模病院、歴史的建築物の復興、放送局、大規模再開発等のプロジェクトを担当しながらZEB設計ガイドライン・設計ツールの社内開発にも携わる。その後スタートアップ企業に転職。設備部門の立ち上げを行い、事業主として設備PMおよび設備設計に2年従事。設計・施工・事業主の3つの視点を強みに、現在は日建設計総合研究所の研究員として環境・エネルギー分野の調査研究とコンサルティングを行っている。
建築設備界隈の皆様、毎日のお仕事お疲れ様です。私は先日、日本建築学会(AIJ)の大会に参加してきました。
会場で様々な方と交流し、何度か「発表の内容も最近変わってきたね」という趣旨の会話をしました。私は恥ずかしながら学会に参加するのが12年ぶりであるため近年の傾向など語る資格もなく、「そうですね~」などと曖昧な返事をしておりました。
たしかに、3万5千人以上の会員数と140年余りの歴史を誇る日本建築学会の大会論文の傾向から設備設計のトレンドが紐解けるかもしれない、ということで集計してみました。
環境工学全体の傾向
環境工学を対象に、2003年以降の論文数をセッション単位で集計してみました(2003年以降は学会HPでプログラムが公開されているためです)。セッション名をもとに任意で11分類に振り分けています。2018年までは5年区切り、それ以降は3年区切りとしています。
意外と分類ごとの割合は毎年ほぼ同じでした。空調関係が30~40%、省エネ関係が20%、音環境、環境心理がそれぞれ10%、光環境、都市環境がそれぞれ5%、給排水衛生が3%というのが毎年の相場のようです。サーキュラーエコノミーやWLC(ホールライフカーボン)の論文数がここ数年で急増しているのが注目度の高まりを表していますね。

AIJ大会論文(環境工学)のカテゴリー別論文数の推移
「その他」を分解してみました。AI・機械学習が2018年頃から、DR(デマンドレスポンス)が2024年頃から登場しています。ちなみに2018年まで「その他」のその他が多いのは、オフィス、病院、など建物用途ごとのセッションが多数存在しており、それをその他として分類したためです。学会としても建物用途ごとではなく、要素技術ごとのセッション形式に変わっていったということですね。

その他の内訳
「環境設計・省エネ・ZEB・エネマネ」から見るトレンド
より強くトレンドが表れそうな「環境設計・省エネ・ZEB・エネマネ」を分解してみてみました。関連のありそうな出来事をグラフの下に示しています。
CASBEEの登場と環境性能評価の熱の高まり、突然現れたSDGs、そして評価軸がエネルギー消費量とゼロカーボンに移り変わっていく様子が論文数にも表れていて面白いですね。最近の環境配慮設計、環境性能評価、ZEB・ZEHの論文数から、設備単体ではなく建築と一体で最適解を導く事への意識の高まりも感じるような気がいたします。

「環境設計・省エネ・ZEB・エネマネ」の内訳
最後に
AIJ論文の集計、いかがでしたか?実務に追われて学会どころじゃないわよ、という方も多数いらっしゃると思いますので、このコラムで最近の雰囲気を感じて頂けたら幸いです。
※本記事の内容は筆者個人の見解であり、所属組織の調査研究に基づく公式な見解を示すものではありません。また、特定のサービスや商品のプロモーションを目的としたものでもありません。



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