日本建築学会「学生サマーセミナー2026」

日本建築学会「学生サマーセミナー2026」

#イベントレポート

最終更新日:2026/09/08

KENGI 編集部

株式会社建築技術

KENGI 編集部

集積あるいは変化するストラクチュラル・アート

日本建築学会が主催する「学生サマーセミナー2026」が7月11日、東京・田町の建築会館で開催され、200名もの参加者が集いました。本セミナーは2001年から毎年開催されており、建築を学ぶ学生が自ら考案した構造物を実際に制作することで、ものづくりの楽しさや、構造とデザインの関係について学ぶものです。

国内の大学に加え、海外からも学生や教員が参加。大学や国・地域の垣根を越えて交流しながら、作品の制作や発表に取り組みました。

学生サマーセミナー2026

斎藤公男実行委員長が開会の挨拶

開会式では、学生サマーセミナー実行委員長を務める斎藤公男・日本大学名誉教授が挨拶しました。斎藤名誉教授は英語で、「ようこそ、日本建築学会のサマーセミナーへ。今回、海外や日本全国からお越しいただいた皆さんに、私の喜びと御礼をお伝えしたいと思います。また、今回のサマーセミナーにご協力いただいた特に日本大学の学生の皆さん、そして多くの先生方にも心より感謝申し上げます」と、参加者や開催に携わった関係者への感謝を伝えました。さらに、「一昨日から本格的な夏が始まりました。くれぐれも体調に気をつけて、本日皆様が実り多く楽しいパフォーマンスができますように祈っています」と述べ、セミナーの開会を宣言しました。

学生サマーセミナー2026 開会の挨拶をする斎藤公男日本大学名誉教授
開会の挨拶をする斎藤公男日本大学名誉教授

「集積」と「変化」を構造物として表現

続いて、本日制作する25作品の紹介をそれぞれのグループの代表の学生が行いました。

学生サマーセミナーでは、「集積あるいは変化するストラクチュラル・アート」をテーマに、学生から作品案を募集しています。提出された案は事前に審査され、選出された作品がセミナー当日のワークショップで実際に制作されます。

課題では、部材を集める、組み合わせる、反復させる、変形させるといった操作を通じて、構造が生み出す形態や空間を表現します。単に形の面白さを追求するだけでなく、部材の組み方や力の伝わり方、安定性、組立方法などを検討し、一つの作品として成立させることが求められます。

今年は、71点の応募作品から25点が選ばれました。各作品には、紙、木材、竹、ビニール、樹脂などさまざまな材料が用いられ、それぞれ異なる発想と構造によって「集積」や「変化」が表現されました。

学生サマーセミナー2026の様子

学生自らが作品を制作

開会式の後、参加学生はグループに分かれ、作品の制作に取り掛かりました。

実物大の制作では、小さな模型の段階では見えにくかった問題も現れます。部材同士が想定どおりに接合できない、組み上げる途中で形が崩れる、構造物の自重によって変形するなど、さまざまな課題に対し、学生たちはその場で検討を重ねながら制作を進めました。

制作途中には、実行委員や審査員、参加教員らが各作品を見て回り、学生に声をかける場面も見られました。学生たちは助言を受けながら、自分たちで解決方法を考え、限られた時間のなかで作品の完成を目指しました。

作業では、部材を支える人、接合する人、全体の形を確認する人など、グループ内で役割を分担。学生同士で協力しながら、一つの作品をつくり上げていきました。

制作風景

作品発表と講評を通じた交流

制作終了後には、各グループによるプレゼンテーションが行われました。学生たちは、作品のコンセプトや構造の仕組み、使用した材料、制作上の工夫について説明するとともに、当初の案から変更した点や、実際に制作したことで明らかになった課題についても発表しました。

プレゼンテーション後には、審査員による質疑応答と講評が行われました。作品の造形性だけでなく、構造の合理性や独創性、材料の特性を踏まえた構成、施工性や制作精度など、多角的な視点から評価。設計段階では成立すると考えていた構造が、実物大で制作することでどのような課題に直面し、それをどう改善したのかについても議論が交わされました。なかには、プレゼンテーションの最中に壊れてしまう作品もあり、実物をつくることで初めて見えてくる構造上の課題を共有する場にもなりました。

本セミナーには、日本国内だけでなく、台湾、中国、韓国からも学生や教員が参加しました。他大学や海外の学生による発表や講評を共有し、さまざまな構造の考え方やアプローチに触れるとともに、実際の作品を介して、言語や教育環境の違いを越えて学生同士が考えを伝え合う姿も見られました。作品の制作から発表、講評までを通じて、大学や国・地域を越えた交流の機会となりました。

プレゼンテーションの風景

 つくることで広がる建築の学び

学生サマーセミナーでは、学生が自らのアイデアを、実際に大きな構造物としてつくり上げ、制作から発表までを体験します。自分たちの手で部材を組み上げ、試行錯誤しながら一つの構造物を完成させていく過程は、構造の仕組みや材料の特性を体感する貴重な機会となります。また、大学や国・地域の異なる学生の作品や考え方に触れることで、新たな視点を得る機会にもなりました。

最後に審査結果が発表され、最優秀賞には早稲田大学の「うごのノコノコ―弾性エネルギーによる自律展開構造―」が選ばれました。優秀賞には、東京都市大学の「くるくるパスタ」、関西学院大学の「層をなす涼」、武蔵野美術大学の「ねじれ傘」、成功大学(台湾)の「Dwine Dwine」が選ばれました。

作品の完成だけでなく、実際につくり、試し、考え、互いの成果を共有するまでのプロセスを通して、参加した学生たちにとって建築と構造への理解を深める一日となりました。

学生サマーセミナー2026 最優秀賞「うごのノコノコ―弾性エネルギーによる自律展開構造―」早稲田大学
最優秀賞「うごのノコノコ―弾性エネルギーによる自律展開構造―」早稲田大学
学生サマーセミナー2026 優秀賞「くるくるパスタ」東京都市大学
優秀賞「くるくるパスタ」東京都市大学
学生サマーセミナー2026 優秀賞「層をなす涼」関西学院大学
優秀賞「層をなす涼」関西学院大学
学生サマーセミナー2026 優秀賞「ねじれ傘」武蔵野美術大学
優秀賞「ねじれ傘」武蔵野美術大学
学生サマーセミナー2026 優秀賞「Dwine Dwine」成功大学(台湾)
優秀賞「Dwine Dwine」成功大学(台湾)