現場に足を運ぼう|情シス担当が現場で得られるもの

現場に足を運ぼう|情シス担当が現場で得られるもの

#情シス・DX推進担当のイロハ

最終更新日:2026/08/08

株式会社フォトラクション

中島貴春

ゼネコン勤務を経て建設テックスタートアップに参画。建設業向けSaaSの開発・導入支援に従事する中で、情シス・DX推進の現場を数多く見てきた。テクノロジーと建設業の架け橋として、業界全体のデジタル変革に取り組んでいる。

「情シスなのに現場に行くの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、建設業の情シスにとって現場訪問は最高の学びの機会です。現場の通信環境、紙文化の実態、タブレット活用のリアル——デスクの前では見えない課題と可能性が、現場には溢れています。現場の人とのコミュニケーション術も含めてお伝えします。

1.現場のIT事情のリアル

建設現場のIT環境は、オフィスとはまったく異なります。初めて現場に行ったとき、多くの情シス担当が驚くポイントをいくつか紹介します。

通信環境:都市部の現場であれば4G/5Gの電波が入りますが、山間部やトンネル内、地下階の工事では圏外になることも珍しくありません。仮設のWi-Fiルーターを設置しても、建物の構造体(鉄筋コンクリートや鉄骨)が電波を遮ることがあります。「オフィスでは快適に動くクラウドサービスが、現場ではまったく使えない」という事態は日常茶飯事です。

紙文化の根強さ:近年はデジタル化が進んでいるとはいえ、現場にはまだ紙の図面や帳票が多く存在します。これは「紙が便利だから」という合理的な理由もあります。汚れた手で触れる、電源不要で見られる、大判で一覧性が高い。紙にも紙の良さがあることを理解した上で、デジタル化を提案することが大切です。

タブレット・スマホの普及状況:タブレット端末を現場に配備している会社は増えていますが、「支給されているけど使いこなせていない」「結局紙に戻ってしまう」というケースも少なくありません。ここに情シスとしての介入余地があります。

2.現場の人とコミュニケーションをとるコツ

現場の人たちは、朝早くから日が暮れるまで体を動かして働いています。忙しい合間を縫って話を聞いてもらうには、いくつかのコツがあります。

まず、現場のルールを尊重すること。ヘルメット、安全帯、安全靴など保護具の着用は当然ですが、朝礼の時間帯や昼休憩の時間は避ける、作業中に突然話しかけないなど、現場のリズムに合わせることが重要です。

次に、専門用語を適度に使うこと。ITの専門用語を並べ立てると壁を作ってしまいますが、逆に建設の専門用語をまったく知らないと「この人は現場のことを分かっていない」と思われてしまいます。完璧でなくていいので、基本的な用語は覚えておくと信頼感が違います。

そして何より、まず親身に話を聞くこと。これは構造設計のイロハや設備設計のイロハでも共通して語られているポイントです。「こうすべきです」と提案する前に、「今何に困っていますか?」「普段どうやって仕事をしていますか?」と聞くことから始めましょう。相手の業務を理解しようとする姿勢が、信頼関係の第一歩です。

3.現場訪問で得られる3つの財産

①課題の解像度が上がる:ヒアリングだけでは見えない課題が、現場に行くと見えてきます。例えば「入力が面倒」という声の裏に、「手袋を外さないとタッチパネルが反応しない」という物理的な問題があったりします。

②提案の説得力が増す:「現場を見てきた上での提案」は、経営層に対しても現場に対しても説得力が段違いです。「現場ではこういう状況だったので、この方法が最適です」と具体的に語れるようになります。

③人脈が広がる:現場に顔を出すことで、「困ったときに相談できるIT担当」として認識してもらえます。この人脈は、ツール導入や業務改善を推進する際の強力な味方になります。

4.最後に

最初は緊張するかもしれませんが、現場の人たちは親切な方が多いです。「勉強させてください」という素直な姿勢で訪問すれば、快く受け入れてもらえるはずです。まずは一度、現場に足を運んでみてください。きっと新しい発見があります。

※本記事の内容は筆者個人の見解であり、所属組織の公式な見解を示すものではありません。また、特定のサービスや商品のプロモーションを目的としたものでもありません。