KENGIセミナー東京#4 中大規模木造建物の施工管理の注意ポイント 2026年9月18日(金)イベントレポート

KENGIセミナー東京#4 中大規模木造建物の施工管理の注意ポイント 2026年9月18日(金)イベントレポート

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最終更新日:2026/10/28

KENGI編集部

株式会社建築技術

KENGI編集部

「KENGIセミナー東京#4 中大規模木造建物の施工管理の注意ポイント」が、2026年9月18日(金)に、東京都品川区の「KENGI HALL(建築技術セミナースペース)」で開催されました。

本セミナーは月刊建築技術9月号と連動した内容となっており、最前線で活躍する2名の登壇者によって、施工計画の勘所と、木質構造部材の製作計画・工場製作における品質管理手法が語られました。

本記事では、中大規模木造建物の品質を確保するための施工管理の注意ポイントを、各講演の内容に沿ってレポートします。

KENGI HALL

【登壇者一覧】
北村 俊夫氏(清水建設株式会社 生産技術本部 主査)
宮林 正幸氏(有限会社ティー・イー・コンサルティング 一級建築士事務所 取締役 所長)

冒頭、株式会社建築技術 阿部夏海より、開会の挨拶とともに本セミナーの趣旨が説明されました。

株式会社建築技術 阿部夏海による挨拶

第一講演:「中⼤規模⽊造建物の施⼯計画での勘所〜3つの主要構造から紐解く施⼯計画・管理のポイント〜」清水建設株式会社 生産技術本部 主査 北村 俊夫氏

第一講演では、中大規模木造の構造区分ごとの管理手法の違いと、業界間ギャップを埋める事前合意のプロセス、「あらわし仕上げ」を守る現場の品質管理が明かされました。

⽊造の分類/分類ごとの特徴
北村氏はまず、中大規模木造を「壁構造系(在来軸組構法、軽量鉄骨造相当)」「軸構造系(集成材建築物、重量鉄骨造相当)」「混構造(ハイブリッド構造)」の3つに大別し、構造特性に応じて施工管理の手法が異なることを整理しました。
都市型建築で求められる耐火性能や大空間に対応する混構造(同社の「シミズハイウッド」等)では、異種構造・異種材料との接合部処理や精度調整、複数業種にまたがる工程管理が鍵になることや、木造部分だけでなく、取り合う鉄骨やRCの精度・工程まで含めて一体的に管理する視点が求められることが示されました。

中⼤規模⽊造建築物の施⼯計画のポイント
施工計画の核心として指摘されたのが、住宅を中心とする「木造業界」と、厳格な書類管理・精度管理を前提とする「ゼネコン業界」との間に存在する文化や常識のギャップです。
両者の共通言語を整え、橋渡し役となる技術者を育成することに加え、事前に詳細な「製作要領書」「建方要領書」を作成し、設計者・監理者との間で合意形成を図る事前承認のプロセスが不可欠であることが強調されました。施工中の判断を現場任せにせず、要領書の段階で関係者間の認識を揃えておくことが、手戻りや品質トラブルを防ぐ前提になると語られました。

ゼネコンとの「⽂化の違い」を理解する〜3つの構造とS造のギャップ〜

ゼネコンとの「⽂化の違い」を理解する〜3つの構造とS造のギャップ〜

中⼤規模⽊造建築物の施⼯管理のポイント
現場の品質管理では、中大規模木造で多く採用される「あらわし仕上げ」への配慮が具体的に示されました。
埋木の固定方法、手垢や鉄汚染(鉄イオンと木材中のタンニンの反応)の防止、水濡れによるカビ・アクの抑制、塗膜系シール材の塗布や目地養生によるコンクリートのノロの付着防止など、工場出荷から現場の建方に至る各工程での対策が紹介されました。仕上げ材を兼ねる構造部材は、一度生じた汚れや傷の補修が難しいため、工程ごとに養生と確認を重ねる必要性が示されました。
さらに、アンカーボルトの精度管理や、木材特有の寸法公差(プラス公差)を吸収するための調整スパンの設置など、事故を未然に防ぐ現場のノウハウが共有されました。

今後の課題と展望
最後に北村氏は、今、私たちがすべきは「限られた⽊造のパイを奪い合うこと」ではなく、メーカー、設計者、プレカット⼯場、ゼネコンがそれぞれの知⾒を融合し、「S造・RC造に並ぶ、当たり前の選択肢としての⽊造」という新たな市場(⼤きなパイ)を共に創り出していくことだとして、締めくくりました。

【北村俊夫氏プロフィール】
2001年齋藤木材工業株式会社入社。博士(工学)。2017年(株)木質構造計画ラボ代表。日本集成材工業協同組合の委員として、中大規模木造の加工・施工技術普及に長年尽力する。2025年より清水建設(株)に所属し、これまでの経歴を活かした木質構造専門技術者として施工技術を中心に業務を行っている。

北村氏講演のようす

第二講演:「木質構造部材の製作計画と工場製作(加工)について」有限会社ティー・イー・コンサルティング 一級建築士事務所 取締役 所長 宮林 正幸氏

第二講演では、中大規模木造の品質を左右する木質構造部材の工場選定から製作要領書の作成、工場加工と寸法検査に至る品質管理の手順が明かされました。

木質構造材製造業者・部材製作業者の選定

木質構造材製造業者・部材製作業者の選定では、使用する木質構造部材(集成材、LVL、CLT等)の規格や加工の難易度、数量に応じた工場選定が不可欠であることが示されました。建設省告示第1895号・第1898号等の大臣告示やJAS規格に適合した製造体制の確認に加え、登録認証機関(日本合板検査会等)による工場認証の有無を確認する手順が解説されました。加工後の部材ではJASマークが切削により消失する場合があるため、製造会社が発行する「出荷明細書」「製品証明書」との照合によって品質を証明する実務上の運用が提示されました。製品そのものに加え、書類によるトレーサビリティを確保しておくことが、監理者・施工者への品質説明の根拠になると語られました。

木質構造部材の製品計画と工程計画・製作要領書の作成

木質構造部材の製品計画と工程計画については、中大規模木造が「受注生産」かつ「多品種少量生産」である特性を踏まえ、S造と同様に現場の搬入・建方順序に即した製作順序と工数・日数を立案する必要性が指摘されました。
これらを反映した「製作要領書」を製作開始前に作成し、監理者・施工者の承認を得るプロセスの徹底が示されました。
製作要領書には、材料仕様、加工精度、検査基準に加え、接合部金物、木材保護塗料の塗装管理、大断面・長尺部材の輸送ルートの制限(高さ・長さ制限、養生・当て木処理)まで網羅する重要性が語られました。

工場製作(加工)

工場製作(加工)の実務では、普及が進むNC加工機(CAD/CAM)による高精度加工と、手加工部位の精度保持の双方が取り上げられました。また、木材の収縮や含水率変化に伴う寸法変化を考慮し、目標値としての『管理許容差』と合否判断基準となる『限界許容差』に基づく寸法検査の徹底が示されました。工場での検査精度が現場の建方精度に直結するため、検査方法や記録の形式もあらかじめ製作要領書に定めておくことの重要性が述べられました。

トラブルを未然に防ぐ

最後に、トラブルを未然に防ぐチェックポイントとして、施工者・建方業者・製造業者間で鋼製巻尺の精度を照合する「テープ合わせ」、仮組みによる事前確認、品質管理工程表の策定など、確実な品質確保に向けた実践的な取り組みが提示されました。製作から建方までの各段階で関係者が同じ基準を共有することが、中大規模木造の品質を支える基盤であることが改めて示されました。

【宮林正幸氏プロフィール】
1968年東京大学農学部林産学科卒。三井木材工業(株)入社、特建事業部副部長、取締役開発研究所長歴任、構造用集成材・窯業系外装材などの開発業務に従事、2020年退任。同年ティー・イー・コンサルティング一級建築士事務所を開設。構造用集成材の用途開発、大規模木造の防耐火設計コンサル業務を中心に現在に至る。木造耐火建築物では、高度な耐火性能検証法づくりに協力したほか様々な防耐火工法の開発業務に携わる。木造建築物の防・耐火設計マニュアル(BJC発行)、木造住宅・建築物の防・耐火設計の手引き(HOWTEC発行)の編集委員を歴任。

宮林氏講演のようす

登壇者集合写真

「KENGIセミナー」は今後も全国各地で開催を予定しております。今回の講演内容および今後のデジタルプラットフォームの展開にご期待を寄せる皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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