
情シス・DX推進担当ってどんな仕事?|建設業ならではの面白さ
最終更新日:2026/03/05

株式会社フォトラクション
中島貴春
ゼネコン勤務を経て建設テックスタートアップに参画。建設業向けSaaSの開発・導入支援に従事する中で、情シス・DX推進の現場を数多く見てきた。テクノロジーと建設業の架け橋として、業界全体のデジタル変革に取り組んでいる。
建設業の情シス・DX推進は、オフィスに閉じたIT部門とはまるで違います。デスクの向こうには「現場」がある。現場・設計・さまざまな部門をテクノロジーでつなぎ、建設業そのものを変えていく——それがこの仕事の面白さです。この連載では、そんな「建設×IT」ならではの魅力と、実務の全体像をお伝えします。
1.建設業の情シス・DX推進の役割とは
建設会社における情シス(情報システム部門)やDX推進部門の役割は、一言でいえば「テクノロジーの力で会社全体の業務を支え、変革すること」です。
一般的な企業の情シスであれば、社内のPCやネットワークの管理、業務システムの運用が中心かもしれません。しかし建設業の場合、オフィスだけでなく「現場」という特殊な環境があります。山の中の工事現場、都心の高層ビル建設現場、地下のトンネル工事——それぞれの現場でITインフラを整え、デジタルツールを活用してもらう必要があるのです。
だからこそ、建設業の情シスは「デスクワークだけでは完結しない」という面白さがあります。現場に足を運び、実際の業務を理解し、テクノロジーと現場の橋渡しをする。これは他業界のIT部門ではなかなか味わえない経験です。
2.現場・設計・その他の部門との関わり方
建設業の情シス・DX推進担当は、社内のあらゆる部門と関わります。
現場(施工部門)との関わりでは、施工管理アプリの導入・サポート、現場のネットワーク環境整備、タブレットやスマートフォンの配備・管理などがあります。現場の職員は毎日忙しく動き回っているので、「簡単に使えること」が最優先です。
設計部門との関わりでは、BIM/CIMソフトウェアの環境整備、大容量データの管理・共有基盤の構築、ライセンス管理などがあります。構造設計や設備設計の方々が快適に作業できる環境を整えることが求められます。
見積・営業部門との関わりでは、積算ソフトの運用・管理、見積データや顧客情報の管理基盤の整備などがあります。見積の精度やスピードは受注に直結するため、システムの安定稼働が欠かせません。
研究・技術開発部門との関わりでは、新技術の検証環境の整備、データ分析基盤の構築、社内へのナレッジ共有の仕組みづくりなどがあります。最新技術をいち早くキャッチアップできるのも、この部門と関わる面白さです。
管理部門(総務・経理・人事等)との関わりでは、基幹システム(ERP・会計・勤怠)の運用、ワークフローシステムの導入、ペーパーレス化の推進などがあります。
つまり、情シス・DX推進は会社の全部門を横断的に見渡せるポジションなのです。各部門がどんな業務をしていて、何に困っているかを知ることができる。これは将来のキャリアにとって非常に大きな財産になります。
3.「テクノロジーで建設業を変える」というやりがい
建設業は、他業界と比較してデジタル化の余地が大きいと言われています。裏を返せば、テクノロジーの導入によって劇的に業務が改善される場面が多いということです。
例えば、紙の図面をタブレットに置き換えただけで、現場での情報共有スピードが格段に上がった。写真整理を自動化したことで、月末の書類作成時間が半分になった。こうした「目に見える変化」を自分の手で生み出せるのが、建設業の情シス・DX推進の醍醐味です。
もちろん、変革には抵抗もつきものです。「今までのやり方で問題ないのに」「パソコンは苦手だ」という声に向き合いながら、少しずつでも前に進めていく。その過程で得られる達成感は、何物にも代えがたいものがあります。
建設業は社会のインフラを作る仕事です。その建設業をテクノロジーで支えるということは、間接的に社会全体のインフラ整備に貢献していることでもあります。
4.最後に
最近は「DX推進」という言葉に注目が集まり、情シス・DX推進担当の存在感も増してきました。AIをはじめ新しいテクノロジーが次々と登場する中で、常に勉強し続けなければならない大変さもあります。しかし、この仕事は建設業において裏方であることに変わりありません。主役はあくまで現場であり、設計であり、建物をつくる人たちです。主役たちがより良い仕事をできるように、テクノロジーで支えること。学び続ける大変さはあるけれど、現場ありきの仕事だからこそ、建設業の情シス・DX推進には独自の面白さがあるのだと思います。
次回以降の記事では、建設業の業務フロー、現場との関わり方、システム選定や導入の進め方など、実務に直結するテーマを掘り下げていきます。
※本記事の内容は筆者個人の見解であり、所属組織の公式な見解を示すものではありません。また、特定のサービスや商品のプロモーションを目的としたものでもありません。